まんまるい、大きなお月さまが、空にポッカリと、うかんでいます。
夜空には、キラキラ星たちが、いっぱいかがやいています。
月の光にてらされた、ヤシの葉が、海の風にゆれています。
砂浜からは、やさしい波の音が聞こえてきました。
ザーザザザー・・・・ザーザザザー
そんな、南の島の、ある夜のことです。
砂浜の中から、小さなかわいい、動物のあたまが、ちょこりんと、出てきました。
あたまを出したのは、海がめのマリンでした。
マリンは、砂の中の玉子から生まれ、砂を手と足で力いっぱいかきわけて、
やっと、地上に出てきたところでした。
「フーウ。やっと、お空が見えた」
砂浜には、たくさんの海がめの子供たちも、あたまを出していました。
そして、みんな海に向かって走り始めました。
生まれたばかりだというのに、みんなじょうずに、海に向かって、走って行きます。
早く海に行かないと、砂浜には、海がめを食べる、動物たちがいるからです。
マリンも、がんばって海に向かって走りました。
ザブン、ザブン・・ブクブクブクブク・・・・・・・
海の中に入ると、マリンの体が、かるくなりました。
「海の中って、とっても楽チンだ」
マリンは、、スイスイと、とても早くおよげました。
海の中でおよぐのが楽しくて、どんどんおよいでいると、息がくるしくなりました。
マリンは、空気をすうために、海の上に顔を出しました。
マリンは、たくさんの兄弟といっしょに生まれましたが、海にでると、
みんな、ばらばらになって、どこかへいってしまいます。