ある日のことです。

　　火の鳥の宿題　The conference of the animals which are hosted every　50000year,s.
　地球動物会議

　　　　　　　　　　　吉藤　まさき　　　　yoshifuji masaki　　　　　　　　　　　　　　　　　　　環境童話

　　ある日、太陽が、いつもより、ほんの少し赤くかがやと、光の細い糸が、どんどん長くのびていきました。

　そして、その光の糸が、暗い宇宙にうかんでいる、青い小さな星、地球に近づいてきました。

　糸の先にいるのは、太陽の子、火の鳥です。

　火の鳥が地球につくと、光の糸は消え、赤い光が地球をつつみこみ、全ての動物をやさしくてらしました。

　そして、その光をあびた、動物の中に、不思議な声を聞いた動物がいました。

　（太平洋の無人島、コロロン島で、七日後に地球動物会議を開きます。集まって下さい）

　でも、その声が聞こえたのは、八百種類の動物から選ばれた、代表のものだけでした。

　火の鳥は、五万年に一度開かれる、地球動物会議の議長として、代表を選んだのです。

　選ばれた動物には、不思議な力がつき、どんな動物の言葉も分かるようになりました。

　動物たちは、急いで島に集まりました。

　海をわたれないない、小さなネズミなどは、いつもはこわくて逃げていた、大きなワシにのせてもらい、仲よく飛んできました。

　少し大きい、犬やネコは、クジラや、イルカにのってやってきました。

　そして、大きな象や牛たちは、火の鳥が、赤い光に包んで、運んできました。

　そのようにして、動物たちは、集まりましたが、まだきていない動物がいました。

　それは、人間の代表でした。

　火の鳥は、何度も代表の人間につたえましたが、まわりの動物の話す言葉が分かるようになり、きっと自分の頭がおかしくなったんだと思って、病院へ入院したからでした。

　火の鳥は、しかたなく、島の近くにすんでいる、ポポロと言う少年を選び、島へくるようにつたえました。

　ポポロも、最初は信じられませんでしたが、海に大きなザトウクジラがやってきて、

　「さあ、私の背中にのりなさい」

　と、話をはじめるのを見て、やっと島へ行くことを決めたのでした。

　人間が島についたので、動物の代表がそろいました。

　島の湾には、海から顔を少し出して、クジラやアザラシら、海の動物が、はじまるのを、話をしながら、並んで待っていました。

　陸の動物達も、湾をかこんで座っています。

　火の鳥は、赤く光る羽を大きく広げ、少し飛び上がり、そこに止まって言いました。　

「それでは、地球動物会議を開きます。この会議は、地球の命を創った太陽の神様からの命令で、動物達が仲良く暮らしているか調べるものなのです。困ったことや、悪い動物がいれば、正しくなおしてもらう会議です。五万年前には、大きな問題はありませんでした。みなさんの正直な意見を聞かせてください」

　小さなネズミが、立ち上がり言いました。

　「僕らネズミは小さいけれど、たくさん子供を生みます。人間は、僕らが少し増えると、すぐ悪い動物だと言ってに毒をまいたりして、殺そうとします」

　「それは、小さいネズミさんだけじゃあない、僕らのような大きなクジラだって同じだよ。人間は、どんな動物でも、増えてじゃまになると、悪い動物だと言って、殺すんだ」

　小さなネズミの意見に、一番大きいクジラが胸びれを少し上げて、賛成しました。　

「そうだ！そうだ！人間は悪いぞ」

　動物達は、いっせいにこえを上げました。　すると、ジャングルにすむサルと鳥が、いっしょに意見を言いました、

　「人間は、僕たちのすむジャングルの木を、どんどん切り倒すので、すむ場所がせまくなって、困っています」

　「そうだ。どこへ行けばいいんだよ」

　と、大きなヘビの、アナコンダが、頭を高く立ち上げて、おこりながら言いました。

　「人間は、木を切るだけじゃないよ。僕らのすんでいる、海岸を土でうめてしまうんだ。そして、そこへ、工場や家をたてるんだ」

　海岸にすんでいる、カニが、口からあわをふきながら、言いました

　次から次へとでる動物たちの意見は、ほとんど、人間のわがままで困っているという意見ばかりでした。

　「動物たちは、人間が、わがままで、地球をひとりじめしていていると言っています。では、人間の意見も言って下さい。まずはじめに、これを読んでいる、君から言って下さい。そう、あなたはどう思いますか？」

　火の鳥は、あなたの意見を聞いています。

　「・・・・・・・・・・」

　「はい、そうですか、分かりました。では、ポポロさんの意見はどうですか」

　「僕は都会のことは、分かりませんんが、僕の島では、木を切ると島の土が流れるし、木は島のたからなので大切にします。ましてや、多くの食べ物をくれる、海岸をうめるなんて、考えられません」

　「ポポロさんは、ほかの人間とは違うようですね。しかし私は、動物が、困っているのなら、助けてあげなければいけません。そのために、地球にきたのです。もし、他の動物がみんな、人間が悪いと言うなら、人間を地球から追い出さなくてはいけません」

　「私たちは、人間が悪いとはおもいません

　「誰だ、誰なの？反対したのは！」

　動物達が、さわぎはじめました。

　反対したのは、犬とネコです。

　「火の鳥さん。ほとんどの人間は、優しい人ばかりです。ただ、ほんの少しの、とても欲張りな人間が、みんなを動かしているんです。それに、今は、自然を大切にする人間も増えています」

　「何だ、お前らは、人間のペットだから、反対なんだろう。人間は出ていけ！」

　動物たちは、犬とネコの話を信じません。

　「いいえ、私たちは、人間のそばにいつもいるからこそ、よく分かるんです」

　犬とネコは、みんなの前で強く言いました。

　火の鳥は、大きく羽をはばたき、にっこりと笑いながら言いました。

　「みなさん。犬とネコさんは、うそを言ってはいません。私は、少しでも反対する動物がいるなら、人間を追い出すことはできません。しかし、人間のしていることは、良いことではありませんね。今回は、人間を許します。でも、次の会議は特別に百年後にします。その時までに、人間が他の動物たちに好かれるようになることを、宿題にしておきます。もし人間が変わらないようなら、地球から出ていってもらうかもしれません」

　火の鳥は、そう言って、会議を終わらせ、動物たちをまた住んでいた所まで運び、赤い火に包まれ、太陽へ帰っていきました。

　人間は、百年後までに、動物たちに好かれるように、がんばらなくてはいけませんね。

今、ポポロは、どうすれば、人間がこの宿題をできるのか、考えているそうです。