ゴミクズラ　　環境教育童話　

　　　　　　　yoshifuji masaki
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　吉藤　正樹
　ゴミクズラは、どんなところにもいます。

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　「エッチラドッコイ、ドッコイショ」
　アリのアーちゃんは、じめんの そうじやさんです。
　きょうも、あおぞらようちえんの にわを、おかたずけをしています。
　まーくんがすてた ビスケット。
　ちいーちゃんがすてた せんべい。
　ようちえんの にわには、いつもいろんな たべものが たくさんおちていています。

　「んーん、よいとこしょ」
　アーちゃんは、じぶんの からだよりおおきな せんべいをもつと、アリさんの　おうちまで、はこんでいきます。
　「エッチラドッコイ、ドッコイショ」
　「きょうも、たくさんあるね」
　アリのリーくんが、おおきな ビスケットを　はこびながら　 こえを　かけてきました。
　「そうだね、まいにち、おうちにはこんでいるけど、こんなにたくさんあると、とてもみんなで たべきれないね」
　「どうして　こどもたちは、こんなにおいしいものを、すてるんだろうね。おなかが　いっぱいなのかなあ？」
　「でも、こどもたちがすててくれるから、ぼくたちがたべれるんだよ。だから、ぼくたちには　いいことだよ」
　「そうだね、さあ、はやく　はこばなくちゃ、たくさんあるから　かたずかないよ」

　ようちえんの　アリさんたちは、まいにち　まいにち　おにわの
おかたずけしました。
　アリのおうちでは、みんなで　どんどんおかしをたべました。
　でも、どんなにたべても　たべきれなくて、ありさんの　おうちは
、たべもので　いっぱいになりました。
　アリのアーちゃんも、みんなといっしょに　がんばってたべましたが、たべきれません。
　とうとう、アーちゃんは、たべすぎて　びょうきになりました。

　アーちゃんは、おなかがくるしいので、おそらにむかって、かみさまに、おねがいしました。
　「かみさま。どうか　もっとたべれるように、からだを　おおきくしてください」
　すると、ふしぎなことに、そらから　かみさまのこえが　きこえてきました。
　「たべものは、たいせつじゃ。すてることは　いけないことじゃ。それでは、おまえのねがいをかなえて、おおきな　からだにしてあげよう」

　かみさまの、こえがおわると、そらから　まぶしい ひかりがかがやき、アーちゃんの　からだをつつみました。
　アーちゃんの　からだは、ひかりのなかで、どんどんおおきくなり、ぞうさんのように　おおきくなりました。

　ようちえんのおにわに　とつぜん　おおきなかいぶつがあらわれたので、こどもたちは、おどろきました。
　おおきくなったアーちゃんは、アリのからだではなく、ゴミクズラという　かいぶつにかわっていました。
　ゴミクズラは、からだがおおきいので、すこしのたべのこしでは、おなかがすいて、がまんができません。
　「おい、こどもたち、いつもすてているたべものを、もっとよこせ！」
　ゴミクズラは、こどもたちに、おおきなくちをあけて、さけびました。
　こどもたちは、もっている　おかしや、べんとうを　ぜんぶゴミク
ズラにあげましたが、とてもたりません。
　「ガーこら！こどもたち、たべるものを　もっとよこさないと、おまえたちも、たべてやるぞ」
　こどもたちは、こわくて　みんななきはじめました。
　ようちえんの　せんせいも　ようちえんにあるたべものを　ぜんぶ　ゴミクズラにあげましたが、あっと　いうまにたべてしまいました。

　「ガーこれじゃあ、ぜんぜん　おなかがふとらないぞ。おい、こどもたち、おまえらは、いつも、おかしや　たべものを　すてているんだから、いくらでも　おいしいものがあるんだろう。もっと、たべものを、よこさないと、おまえらを、ほんとうに、みんなたべてしまうぞ」
　「ゴミクズラさん、もうたべるものは　なにもありません。どうか、ぼくたちをたべるのは、ゆるしてください」
　こどもたちは、なきながらいいました。
　「いや、おまえたちは、いつも、たいせつなたべものを、すてているのだから、きっと、どこかにあるはずだ」
　「ゴミクズラさん、ほんとうに、もうたべるものは、どこにもありません。どうか、もう、どこかにいってください」
　「おかしいじゃないか、だったら、どうして、たいせつなたべものをすてるんだ。ないのだったら、たいせつにするはずじゃないか」
　「ごめんなさい、ほんとうに、こどもたちも　わたしたちも、もうなにもありません」
　せんせいたちも　あやまりました。

　ゴミクズラになった　アーちゃんは　かんがえました。
　「なーんだ、たべものが　たくさんないのだったら、おおきくなっても、しょうがないじゃないか、ようちえんの　おにわの　たべものの　おかたずけさえなければ、ちいさくてもいいんだから」
　ゴミクズラいいました。
　「たべものが　ないのだったら、もうおにわには、おかしや、たべものをすてないでくれよ」
　「はい、もうすてたりしません」

　ゴミクズラは　かみさまに、またおねがいしました。
　「かみさま。こどもたちは、もう、おかしや　たべものを　すてないそうですから、もとのアリに　かえしてください」
　「うむ、たべものをすてないのなら、もう　おおきなからだはいらないな。それでは、もとのからだにしてあげよう」
　ゴミクズラは、そらからの　ひかりにつつまれると、もとのアリにかえりました。

　それから、あおぞらようちえんの　にわには、おおきなおかしや　たべものや　ごみがすてられることは　ありませんでした。でも、たいせつな　たべものをすてていると、いつ、またゴミクズラが　でてくるかもしれません。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おわり
　


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